今回は、この先の未来でも無くなることのない職業と言われている『物流』について触れていきたいと思います。
長く勤めていると、勤務態度や能力などの点から、いずれ評価されて業務管理責任者を任されたりなんてことも!?
とはいっても、「物流倉庫の業務管理って、具体的に何をすればいいんだろう?」と、いまいちピンと来ていない人も少なくはないと思います。
この記事では、初めてでも業務管理を成功させるための秘訣をいくつかご紹介します。
そもそも『倉庫業務の管理』とは?
倉庫業務の管理とは、倉庫内のすべての業務を効率的に行い、かつ正確に行うためのマネジメント業務です。
主に、上記のような業務がありますが、あくまでも大きな項目として挙げてますので、細分化するともっと多くの項目があります。
また、担当する部署によっては携わらない業務もありますので、順を追って記事をいくつかに分けて解説していこうと思います。
今回はその中でも、全部署に共通して必ず携わることになる「進捗管理」について、解説していきます。
「進捗管理」を行う上での注意すべきこと
進捗管理について、具体的に触れていく前に注意すべきことがあります。
とくに、作業員から責任者に昇格して、これから進捗管理者として業務を覚えていく人は注意が必要です。
進捗管理者の仕事は作業ではなく、現場を歩き回り全体の状況を把握し、人を動かすことが仕事です。
ですので、進捗管理者は基本的に作業に入ってはいけません。
恥ずかしながら、私Hyo-tannも初めて進捗管理を行う際に、「業務が遅れてしまうかもしれない」という恐れから作業に入ってしまい、先輩管理者から注意を受けたことがあります。
もし進捗管理者が自ら作業に入ってしまった場合、どういったことが起きるのでしょう。
1,本来の業務に集中できなくなる
進捗管理者が作業に追われてしまうと、抜けるに抜けられなくなり、本来の業務である進捗状況の把握、問題点の発見、関係者間の調整などに十分な時間を割けなくなってしまいます。
2,客観的な視点が失われる
作業に携わると、どうしてもその作業に偏った視点、つまり色眼鏡になります。
進捗管理者は、業務全体を俯瞰的に見る客観的な視点を保つことが重要です。
3,担当者のモチベーションが低下する
進捗管理者が作業に介入すると、担当者の自主性が損なわれ、モチベーションが低下する可能性があります。
担当者は仕事を任せてもらえないと感じてしまうこともあり、最悪の場合、離職に繋がる恐れもあります。
4,各所でトラブルが発生しやすくなる
進捗管理者が作業に直接関与していると、トラブルが発生しやすくなります。
進捗管理者が作業に入るべきではない理由の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
人手が不足していることに気付けない
目の届かないエリアで人手が不足している場合があります。
一時的に作業に入ることは仕方ない場合もありますが、基本的には他の方法で人手不足を解消する必要があります。
例えば、担当する部署で業務形態などにより、作業エリアが分かれているとします。
人手が充足しているエリアから、人手を一時的に移動させて不足分を補うようにしましょう。
作業が遅れていることに気付けない
担当部署の作業の遅れに気付けなくなります。
そのまま遅延に気付くことができず放置していると、他部署どころか倉庫全体の作業遅延にまで発展してしまう恐れがあります。
また、そもそも進捗管理者が原因で遅延が発生する可能性もあります。
各自の能力値をしっかり把握できていないにもかかわらず、進捗管理者自身の計画や人員配置に過信して、ろくに進捗確認を行わない場合です。
関係者間で起きているトラブルに気付けない
関係者間でトラブルが起きていても気付けません。
トラブルがエスカレートすると、作業がストップして業務遅延を引き起こす恐れがあります。
最悪の場合、暴力行為に発展してケガ人がでたり、さまざまな処置に追われることになります。
上記のように、進捗管理者が作業に入ってしまうと、目の届かないところで起きている様々な問題に気付けません。
進捗管理者がすべきことをしっかりと理解し、効果的な進捗管理を心がけましょう。
「進捗管理」とは具体的に何をすればいいの?
進捗管理とは、業務を円滑に進めるために、計画と実績のズレを把握し、適切な対応を取ることです。
それでは、具体的な進捗管理方法を5つにまとめましたので、1つずつ解説していきます。
1,目標・計画の設定
1日の業務を問題なく完結させるための計画や目標を、設定していきます。
スケジュールの把握
まず、1日の倉庫全体の業務を何時までに完了させないといけないのか、自部署の業務を何時までに完了させないといけないのかなど、タイムスケジュールを把握しておきましょう。
タスクの把握
担当する部署の業務がどれだけあるのか、また、作業工程がどのくらいあるのか、担当者を何人配置すればいいのか、業務上の手間などを把握しておきましょう。
しっかり把握できていないと計画が練れません。
各作業担当者の能力値の把握
各自の能力値を把握しておきましょう。
業務や作業工程の理解力、作業の丁寧さ、スピードなどの能力値は人それぞれで違いますので、普段から観察してしっかり把握しておきましょう。
人員数の把握
当日の人員数を前もってシフトなどで把握しておきましょう。
業務に応じて必要な人員数も変わってきますので、不足しているようであれば、当日を迎える前に調整しておきましょう。
また、人員が多過ぎても良くないので、休日をズラすなどして調整しておきましょう。
イベントの有無
倉庫業となると、イベントの有無次第で出荷量が大幅に変わってきます。
チラシ掲載商品やセール期間に向けた単品大量出荷、店舗向けの倉庫業である場合は新店や店舗改装といったイベントが発生します。
しっかり把握しておきましょう。
計画への落とし込み
以上の内容を全て把握したうえで、計画を練っていきます。
基本的には、少しでも早めに業務を完了できるように計画していきます。
ただし、部署間の連携やその他事情(※上司に確認してください)などもあったりしますので、あまり早過ぎないように気を付けて計画していきましょう。
また、欠勤者が発生した場合に対応できるように、予め部署間で調整しておくことも視野に入れておきましょう。
2,進捗状況の把握
計画に基づいて作業が問題なく進んでいるのかどうかを、定期的に確認します。
現場巡回
各作業エリアを定期的に巡回し、作業の進み具合を観察します。
さらに、何時ごろに作業完了見込みか予測を立てておきます。
進捗ミーティング
各部署の責任者を招集して、定期的にミーティングを行い、各自の進捗状況を共有します。
もし自部署で遅れが発生していたり、遅れが発生する恐れがある場合は、この場で共有しておきましょう。
3,問題点の発見
進捗状況の把握のために現場巡回することで、計画と進捗のズレや、問題点を発見することができます。
各所で発生する問題は、大幅な業務遅延を引き起こす要因になります。
よくある問題点を下記に挙げておきますので、注意深く観察して問題点の早期発見を心がけましょう。
4,問題点の解消
上記で発見した問題点に対して適切な対応を行い、業務進捗への影響を解消します。
具体的な対応方法を下記にいくつか挙げておきますので、遅延回避の参考にしてください。
業務の手間や人員不足などによる業務遅延
作業内容と作業担当者の能力値が、アンマッチを引き起こしている可能性があるので、配置の見直しを行います。
また、純粋に人員不足による遅延の場合は、他部署からの応援を募り不足分を補います。
この時、他部署の人員に余裕が無い場合は、時間を決めて応援依頼をすると良いでしょう。
例えば、「何時から30分だけ応援を2名ください」など、時間や人数を明確にした上で依頼することで、なんとか調整してくれたりします。
商品破損などの品質問題
発見したその場ですぐに対応するようにしてください。
作業担当者の怠慢による問題であった場合は、すぐに注意喚起を行ってください。
もし、反省の色が無かったり、態度が悪いようであれば、二次災害を発生させないためにも、すぐに上司に報告して業務から外しましょう。
人的要因以外で品質に問題がある場合は、惹起者に状況をヒアリングし、作業手順を見直したり、倉庫全体で教育・訓練などの対策を実施しましょう。
設備破損などのトラブル
設備トラブルの内容によっては非常に危険なので、まず第一に作業員の安全を確保してください。
また、ケガ人がいないかなども同時に確認しておきましょう。
そして、迅速に上司に状況説明なども含めて報告し、その後の対応なども相談しながら進めていきましょう。
5,計画の見直し
状況に応じて、計画の見直しを行います。
例えば、事前にクライアントから共有されていた出荷予測値と実績値が大幅にズレることがあります。
また、複数人が急な体調不良により帰宅し、作業人員が不足してしまった場合などが挙げられます。
ただし、毎日のように計画を見直すような状況である場合は、そもそもの進捗管理者の計画が甘いということになりますので、根本から見直すようにしてください。
上記のような理由から、計画の見直しが必要な場合は、その旨を必ず上司に報告・共有するようにしましょう。
指摘を受けてからの報告は、報告ではなく言い訳として捉えられてしまいますので気を付けてください。
進捗管理のポイント
進捗管理を効果的に行うためのポイントを下記にまとめてみましたので、参考にして初めての進捗管理に役立てていただければ幸いです。
まとめ
倉庫管理業務を成功に導くためには、進捗管理が欠かせません。
適切な進捗管理により、業務の流れを常に把握し、問題が発生した場合にも迅速に対応することができます。
また、周囲とのコミュニケーションも欠かせません。
チーム全体での情報共有を徹底し、問題が発生した際には迅速に情報が伝達される体制を整えることが大切です。
進捗管理をしっかりと行うことで、初めての倉庫管理業務もスムーズに進めることができるでしょう。
この記事でご紹介した内容に引き続き、次回以降も倉庫業務関連の記事を更新していきますので、ぜひ参考にして物流倉庫の業務管理をマスターしてください。
では、また。